こんにちは、前回に引き続き、Asahi Linux関連です。
今回はAsahi Linuxを使っていて気づいた問題点をまとめていこうとおもいます。
この記事はAsahi Linux上のFirefoxで執筆しています。
将来的にはGentoo Linuxに移行したいななんて思っていたりします。
HiDPIでいろいろがすごく小さい
Asahi LinuxにPlasma以外のデスクトップ環境を入れると最初に気づくのが「小さい」ということです。
通常のLinuxなら解像度を変更したりスケーリングを変更すればいいのですが、Asahi Linuxの場合はどちらもできません。
Gnomeの設定画面ですが、解像度変更のための選択肢が一切表示されません。
これはLXDE、Gnome、Xfce、Plasmaすべて共通でした。
また、xrandr(コマンドラインツール)を使って強制的に解像度を変更する方法が存在するのですが、その方法でもドライバからのエラーが発生しました。
つまり、現状のAsahi Linuxにおいて解像度変更はできません。
また、xrandrによるスケール(拡大率)の変更もできません。GUIがクラッシュします。
唯一使えたのがGnomeのスケール変更です。Gnomeの設定の「サイズ調整」はうまく動作しました。
ただし、通常の設定では「100%」か「200%」しかありません。そして200%にするとでかすぎて逆に操作しにくいです。
そこで、150%に設定する方法を探したところ、Waylandでのみ、dconfから実験的機能を有効化することで拡大率を細かく設定できることが判明しました。
gsettings set org.gnome.mutter experimental-features "['scale-monitor-framebuffer']"
上記のコマンドを実行すると、150%や175%、125%などを選択できるようになります。
なのでAsahi Linux上でGnomeを使う場合はWaylandで起動するべきです。
日本語入力ができない
従来のArch Linuxと同じようにIbusやFcitx4をインストール、設定しても正常に日本語入力を行えません。
そこで、最新のFcitx 5をインストールすると正常に日本語入力ができるようになります。
パッケージとしては以下をインストールします。
fcitx5
fcitx5-configtool
fcitx5-gtk
fcitx5-mozc
fcitx5-qt
その後、以下のように設定を変更してください。
こうすることで、(ライブ変換以外は)macOSと同じように入力ができるようになります。
キーボード配列がおかしい
macOSではControlキーとCommandキーでターミナルに関するキーボードショートカットが分かれています。また、貼り付けなどの操作もMacはCommandキーです。
しかし、GnomeやPlasmaはCommandキーをまるでWindowsキー家のように扱い、操作はすべてControlで行います。
この状況をどうにかしてmacOSに近づけたいと考えていますが、まだこれ!といった方法は蜜花ていません。なにか情報がお有りでしたらコメントまでお願いします。
タッチパッドの感度が異常に高い
タッチパッドの感度が異常に高く、スクロールもめちゃくちゃ早いです。
カーソル速度とジェスチャーに関しては、Gnomeでは以下のように設定すればそれなりに使えるようになります。
しかし、スクロール速度だけはかんたんに変更する方法がないようです。
(GTKやWaylandのIssueに長年居座っている問題なのでそうかんたんに完全されるものでもなさそうです。)
一応、Xorg用のxf86-input-mtrackという、トラックパッドの調整を行うXorg用のドライバを発見したのですが、いくつかの問題があり使用できませんでした。
まず、上記のGnomeのスケール変更がWayland上でしか使用できず、このドライバと併用できません。
また、スケールを犠牲にしてこのドライバを適用しても、スクロール速度を変更するとXorgがクラッシュするという重大なバグがあり、使用できませんでした。
他にもiwheelというユーザーランドのツールも試しましたが、効果がありませんでした。
ということで、タッチパッドのスクロール速度を改善する手法は今のところありません。
追記
だそうです。Plasmaがいいかもしれないですね。(だから公式が採用しているのかな)
TTYの切り替えができない
通常のLinuxでは、TTYの切り替えを「Ctrl + Alt + F(n)」で操作します。(1≦n≦7 自然数)
しかし、MacBook ProではFキーはTouch Bar上にあります。そしてTouch BarはAsahi Linuxでは使えません。
そこで、 F(n)キーを入力する方法として、「Fn + n」という入力方法が設定されています。
また、Asahi Linuxでは、AltキーとしてOptionキーが割り当てられています。
これをふまえると、TTYの切り替えは「Control + Option + Fn + n」で行うことができます。
ちなみにこの切り替えは13インチのMacBookProでしか動作しないそうです。
バッテリー消費が異様に早い
まだカーネルが成熟しておらず、電源管理が正常にできていないためかバッテリー消費がmacOSよりも早いです。
ディスプレイ光度が変更できなかったり、スリープができないのが大きいです。
TLPを使って少しでも伸ばそうとしましたが、あまり効果があるようには見えませんでした。
Wine
Wineはx86条で動作するもののため、基本的にはARM上では動作しません。
macOSの場合はRosetta2があるので動作しますが、Linuxにはそういった互換レイヤーは存在しません。
一応AURにwine-armというパッケージが存在しますがコンパイルに失敗しました。
コンパイルを通すためのパッチを知っている方はコメントまでお願いします。
Visual Studio Code
VSCodeの代表である、visual-studio-code-binはインストールができません。
これは、現在対策を模索中です。
VSCodium
VSCodeのOSS版のVSCodiumについてです。
vscodium
自分でコンパイルするパッケージです。
途中で失敗してインストールできませんでした(スクショ撮り忘れたのであとでもう一度検証します。)
やはりビルドで失敗しました。SIGKILLってあるけど原因特定面倒なので諦め。
vscodium-bin
すでにビルド済みのバイナリを利用するパッケージです。
こちらはバイナリをダウンロードして配置するだけなのでパッケージ作成は完了します。
しかし、実行するとセグフォが発生します。
同じaarch64でもM1だと専用にビルドが必要とかそういう話なのかなぁ…
まとめ
XfceやLXDEではHiDPIやタッチパッドに関する設定が非常に弱いため、GnomeやPlasmaなどのモダンなものを使用することをおすすめします。
Asahi Linuxはまだ開発の初期段階で、M1上のLinuxで動かせるソフトも限りがあります。
自身も時間があるときに開発に参加しつつ、逐一最新情報を報告していきたいと思います。
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